「若菜、音楽広場でいい芝居が繰り広げられているわ。興味があるなら見に行ってみたら?きっと後悔しないと思うわ」
安藤心の言葉には、人の不幸を喜ぶような色濃い感情が込められていた。
安藤若菜はタクシーに乗り込んだ。今、夜の闇が深まり、街中にネオンが瞬き、まるで眠らない都市のようだった。
車がしばらく走ると、彼女は突然言った。「運転手さん、音楽広場に寄っていただけますか」
車を降りた若菜は広場に入ると、多くの人々がバラの花を受け取るために列を作っているのが見えた。
広大な音楽池の傍には、色とりどりのバラの花が山積みにされ、照明に照らされて夢幻的で、まるで花の海のようだった。
高くそびえる現代的な超高層ビルは、まるで祝日に飾られる色とりどりの電飾のように、きらびやかな光を放っていた。