第359章 彼が突然死んでしまうのがとても怖い4

彼女は祈った。藤堂辰也が早く目を覚ましてくれるように。それが無理なら、誰か通りがかりの人が彼らを救ってくれてもいい。

もしこれらの祈りが叶わなければ、今度は彼女が気を失って溺れてしまうだろう。

安藤若菜は疲れて目の前が暗くなり、唇を強く噛みしめて最後の意識を保ち、気絶しないようにするしかなかった。

彼女はようやくネットや新聞で見たニュースの意味を理解した。

以前、ニュースで誰かが溺れていて、通行人が救助に行ったものの、結局二人とも死んでしまったという記事を見たことがあった。

あるいは、岸に上がった後に亡くなったというケースも。

彼女はいつも疑問に思っていた。救助に行くということは泳げるはずなのに、なぜ死んでしまうのだろうか?

水中で人を救うのは非常に体力を消耗する作業で、体力のない人は衰弱して死んでしまう可能性が高いのだと今わかった。

安藤若菜はこの数ヶ月間、毎日リハビリを続けてきたことをこれほど感謝したことはなかった。

それによって彼女の腕は普通の人よりもずっと力強くなり、体力も大幅に向上していた。

そうでなければ、藤堂辰也を救い出すことはできず、二人とも溺死していただろう。

体力が向上したとはいえ、ずっと水に浸かっているのは良い方法ではなかった。

今はちょうど春で気温はそれほど高くなく、小川の水温は氷のように冷たかった。

冷たい水に長時間浸かっていると、体温が下がり、意識が散漫になりやすい。

安藤若菜は寒さで全身が震え、体中から力が抜けていた。

彼女は顎を岸に乗せ、岸辺の雑草をしっかりと掴んだ。これなら気を失っても水中に落ちることはないだろう。

意識を保つために、彼女は藤堂辰也の横顔をじっと見つめていた。

彼はなぜ突然気を失ったのだろう?

彼の体はいつも健康だったはずなのに?

彼女は彼が銅筋鉄骨の体で、決して倒れることはないと思っていたが、彼にも弱い時があるとは思わなかった。

彼が気を失った瞬間を思い出すと、安藤若菜の心はまだ恐怖に震えていた。

あの時、彼女は本当に彼が突然死んでしまうのではないかと怖かった。

もし彼が死んでいたら、彼女はきっととても悲しく、辛い思いをしただろう。

いや、悲しみや辛さではなく、心が引き裂かれるような…