第359章 彼が突然死んでしまうのがとても怖い4

彼女は祈った。藤堂辰也が早く目を覚ましてくれるように。それが無理なら、誰か通りがかりの人が彼らを救ってくれてもいい。

もしこれらの祈りが叶わなければ、今度は彼女が気を失って溺れてしまうだろう。

安藤若菜は疲れて目の前が暗くなり、唇を強く噛みしめて最後の意識を保ち、気絶しないようにするしかなかった。

彼女はようやくネットや新聞で見たニュースの意味を理解した。

以前、ニュースで誰かが溺れていて、通行人が救助に行ったものの、結局二人とも死んでしまったという記事を見たことがあった。

あるいは、岸に上がった後に亡くなったというケースも。

彼女はいつも疑問に思っていた。救助に行くということは泳げるはずなのに、なぜ死んでしまうのだろうか?

水中で人を救うのは非常に体力を消耗する作業で、体力のない人は衰弱して死んでしまう可能性が高いのだと今わかった。