彼女は同じ色の白いバッグを肩にかけて病棟に入り、おばあさんが高級看護師に車椅子を押してもらい、庭園を散歩しているのを見た。体調はすでに少し回復していた。
近づいてくる彼女を見ると、おばあさんの少し血色が戻った顔に花が咲いたような笑みが広がった。「千雪、来てくれたのね。早くこちらに座りなさい。おばあさんはずっとあなたのことを思っていたのよ」
千雪はしゃがんでおばあさんを抱きしめ、看護師に下がってもらってから、木のベンチに座った。彼女は今回、おばあさんを療養院に連れて行って静養させるつもりだった。
医師によれば、今一番大切なのはおばあさんに良い環境で静養してもらうことで、それが病状に良い影響を与えるという。おばあさんにどれだけの時間が残されているか、医師も彼女も分かっていた。今回の手術でせいぜいおばあさんの命が2、3ヶ月延びるだけだった。