諦めきれない?彼女の胸がわずかに高鳴った。
パーティーは長く続き、千雪はお腹を抱えてついに疲れてしまった。冷泉辰彦は客を断り、彼女を休憩室に連れて行った。
彼女がベッドに横たわると、冷泉辰彦はスーツを脱いで隣に滑り込み、後ろから彼女を抱きしめ、髪にキスをした。「パーティーはもうすぐ終わるよ。クルーズ船が岸に着いたら、海辺のアパートに連れて行くよ。ここから近いから」
千雪は静かに彼の腕の中で丸くなり、疲れが少しずつ押し寄せてきた。眠りに落ちる直前、彼女は男性が耳元で「愛している」と言ったのを聞いたような気がした。
その後、夢の中では彼がステージ上で、記者たちの前で見せた深い愛情だけが残った。
どれくらい眠ったのかわからないが、彼女が目を覚ますと、背後の男性はもういなかった。窓辺に歩み寄ると、クルーズ船がゆっくりと岸に近づいているのが見え、道路を行き交う車さえ見えるようになっていた。