第116章

おばあさんが亡くなった日、彼女はおばあさんの側にいなかった。彼女はおばあさんがどれほど悲しんでいたかを知っていた……あの時、則安は彼女を騙した。彼女が退院して帰国したとき、彼女が見たのはおばあさんの遺灰だった。

ずっと前からおばあさんの回復は一時的なものだと知っていたし、おばあさんがいつか彼女の元を去ることも知っていたが、実際におばあさんの遺灰を見たとき、彼女の心は痛みと絶望だけだった。

その日、彼女は則安の腕の中で全ての涙を流し尽くした。彼女は絶望し、黙り込み、則安はずっと彼女を抱きしめていた。後におばあさんの葬儀を終えると、則安は憂鬱な彼女をスイスへ連れて行った。

もし則安がいなかったら、彼女はおそらく永遠に沈黙したままだっただろう。

「則安、ずっと私のそばにいてくれてありがとう」彼の胸に横たわりながら、彼女は心から言った。