次の一日、私は田中遠三への嫌悪感をどうしても隠せなかった。
このままでは自分の正体がバレてしまうと心配した。
そこで、思い切って田中遠三にメールを送り、一日の休暇をもらうことにした。
その日、私は温井雅子と山田静を誘って温度リゾートへ遊びに行った。元々はただリラックスするつもりだった。
しかし、リゾートに着いたばかりのところで、山田静は家からの電話を受けた。
「帰らなきゃ!母が呼んでるの!」
「何のために?もう結婚間近なのに!」
山田静はため息をつき、最近の出来事を話し始めた。
「やっぱり私と宮田友夫の結婚の件よ。前回、義母が家を彼女に名義変更したら結納金を出すって言ったでしょ。あなたたちのアドバイス通り、名義変更は断ったわ。それで結納金は、くれなければくれなくてもいいわって思ったの。考えてみれば、私たちの家は1000万円以上するし、家を渡して結納金をもらうのは割に合わないわ。だから結納金なしで直接結婚式を挙げることに同意したの。この条件に宮田家の人は同意したけど、今度は私の母が怒り出したの。」