賀川心が朝食を終えて寝室に戻ると、葉山大輔が物を探し回っているのが見えた。彼は次々と棚を開け、彼女のバッグまでも探っていた。
彼女は彼の背後に歩み寄り、軽く背中を叩いた。
「何を探してるの?」
葉山大輔は振り返り、不思議そうに賀川心を見た。
「君の戸籍謄本だよ。どこにある?」
彼はさっきからずっと探していたが、見つからなかった。
賀川心は眉をひそめ、心の中で驚きと疑問を感じた。
「何のために探してるの?」彼女は棚の前に歩み寄り、それらの棚をすべて閉めた。そして一つの洋服棚の扉を開け、畳まれた服の下から朱色の小さな冊子を取り出した。
とても薄い冊子だった。
彼女はその小さな冊子を葉山大輔に渡し、彼を見る目は疑問に満ちていた。彼がこれを何のために探しているのか分からず、住民登録などが必要なら、彼女の身分証明書を探せばいいのに。