十五分後、二人はホールを出て、それぞれ赤い小さな冊子を手に持っていた。この瞬間から彼らは正式に夫婦となり、お互いに最も親密な存在となる。
賀川心はこの結婚証明書を自分のバッグにしまった。とても軽いものなのに、手に握ると重く感じる。彼女はこの場所に来るのは初めてではなかった。五年前にも来たことがある。当時彼女はまだ20歳で、結婚証明書を取得すれば一生一緒にいられると愚かにも信じていた。
しかし、その後の結末がそうなるとは誰が知っていただろうか。
そして今回、彼女は彼らが本当に最後まで一緒に歩めることを願うだけだった。
「何を考えているの?」葉山大輔は彼女の手をぎゅっと握り、顔を向けて、口元に淡い笑みを浮かべた。
賀川心は一瞬躊躇した後、彼女も微かに口角を上げた。彼に心配事を抱えている様子を見せたくなかった。