第277章:国民の旦那様?

賀川心も皆の視線に合わせて見てみると、確かに国民のほとんどが知っている有名人物が見えた。

楚山哲雄?

賀川心の目が少し大きく見開き、この人物が突然ここに現れたことに少し驚いた。

彼女は葉山大輔の腕を軽く揺らした。

「どうしたの?」葉山大輔はようやく顔を上げ、どこへ行っても全ての人の視線を集める男性を見た。

非常に派手なセレブの二世で、ネットユーザーからは「国民の旦那様」と冗談交じりに呼ばれている。

「無視しろ」葉山大輔は何か嫌なものでも見たかのように、賀川心の顔を手で向き直させ、遠くの奈良川を見るようにさせた。

もちろん彼と楚山哲雄の間には特に恨みはなく、ビジネス上の協力は時々あったが、以前は花岡陽田は彼の管轄ではなかったので、付き合いは浅かった。ただ自分の女性が他の男性を見つめるのが気に入らなかっただけだ。