葉山様はバッグから小さなノートとペンを取り出し、紙に名前を書きました。
龍が飛び鳳凰が舞うように、とても美しい筆跡でした。
「葉山美希」
賀川心はその紙に書かれた三文字を見て、目が少し輝きました。その名前を二、三回口の中で呟きました。
なかなか良い響きで、読みやすい名前のようです。
「はい、ありがとうございます、お父さん」賀川心はうなずき、この名前を使うことに決めました。自分で考えた名前よりずっと素敵です。
しばらくして、看護師が生まれたばかりのお嬢さんを抱いてきました。小さなお嬢さんはとても大人しく、泣いたり騒いだりせず、時々少し動くだけで、目はずっと閉じたままでした。強い光の刺激を恐れているようでした。
夏目静子が先に赤ちゃんを抱き、手を伸ばして赤ちゃんの額を優しく撫で、赤ちゃんの赤らんだ小さな頬をじっと見つめていました。