第348章:金の鍵を咥えて生まれた子供

葉山様も珍しく微笑みを浮かべた。期待していた孫息子ではなかったが、六十歳になって、ようやく祖父になれた。彼にはもう何年も生きられないだろう。

「ご苦労だったね、子供よ」葉山様は穏やかな目で賀川心を見つめた。

そう言うと、持っていたバッグから紙の書類入れを取り出した。

「これは子供へのプレゼントだ、受け取りなさい…」

賀川心はその書類入れを驚きの表情で見つめた。彼女は唇を噛みしめながら、中にはお金が入っているのだろうと思った。ただ、なぜ赤い封筒ではなく書類入れなのだろう?

「ありがとうございます、お父さん!」まだ中身を知らないが、賀川心は急いでお礼を言った。

彼女は両親がこの子が男の子であることを期待していたのだろうと理解していた。彼らは何も言わなかったが、彼女にはわかっていた。