第444章:土地勘のない場所

賀川心は縁子を抱いてバスから降りた。すでに午後1時で、川市の天気は夜都よりもずっと良く、太陽が輝き、とても暖かかった。

縁子は黒く輝く大きな目を見開いて、あちこちを見回していた。見知らぬ人々や物ばかりで、しかもたくさんの人がいた。

「お母さん……」縁子は母親の肩に頭を寄せ、小さな両手をしっかりと握りしめていた。

賀川心は縁子を抱えてバスターミナルを出た。この都市は彼女にとって馴染みがなく、学生時代に一度か二度来たことがあるだけだった。これは二線級の都市だが、人口は多く、千万人以上が住み、非常に雑然としていた。また、伝説的な詐欺商法が最も横行している都市としても知られていた。

ターミナルを出るとすぐに、賀川心は客引きの群れに遭遇した。男女老若様々な人々が、彼女にどこそこへ行くのかと尋ねてきた。それらはすべて下級の県レベルの市や地級市の名前だった。