第13章 お前に口出しする権利はない

「羽柴さん、羽柴夫人、こちらへどうぞ」

夏目芽依が中に入ろうとしたとき、羽柴明彦に手を引っ張り戻された。

「手」

この女は本当に鈍いな、何度も強調したのに、まだ忘れるとは。

夏目芽依は恥ずかしそうに舌を出し、羽柴明彦の腕に手を回した。

またもや何のテーマかわからないパーティー。二人が結婚してから、夏目芽依の夕食時間はこういったパーティーでびっしりと埋まっていた。

「表情に気をつけて」羽柴明彦が彼女の耳元で小声で言った。

夏目芽依はすぐに家で鏡の前で何度も練習した笑顔を浮かべた。

「今夜はどんなイベントなの?」

羽柴明彦は彼女を見もせずに言った。「何のイベントか知る必要はない。ただ私の隣で笑顔を保っていればいい」

「ああ」

やはり、風光グループ社長の妻として、彼女にはこのイベントのテーマを知る資格すらなく、ただ彼が連れている付属品に過ぎなかった。