第15章 ほころびを見せる

「なんだか向かいのイケメンが私を見ているような気がするんだけど?」

西洋レストランで、金田凛香は夢見るような顔で、恥ずかしそうに言った。

「どのイケメン?」

「あそこの、帽子をかぶっている人よ」金田凛香は夏目芽依の背後を指さした。「私たちから二つテーブルを隔てたところにいるわ」

「すごくカッコいいわ〜」言い終わると、彼女は恥ずかしそうに自分の顔を手で覆った。

夏目芽依が振り返って探すと、木村城太を見た瞬間、急いで顔を戻した。

彼はメガネと野球帽をかぶっていたが、それでも一目で彼だとわかった。

「この羽柴明彦って、本当にひどいわ...」

夏目芽依は彼が木村城太に自分を送らせたのは、彼女が病院で佐藤凡太に会うのを恐れてのことだと思っていたが、まさか監視する任務もあるとは思わなかった。