「申し訳ありません、皆様。バスに問題が発生したため、予定のルートを続行することができません。どうかこの停留所で降車し、次のバスにお乗り換えください。」
バスの運転手のアナウンスが流れると、車内は騒然となった。
「会社に遅刻しそうなのに、また待たなきゃいけないの?」
「バスいったい何が問題なの?見た目は大丈夫そうなのに。」
「朝のラッシュ時に一台のバスを待つのがどれだけ大変か分かってる?」
みんなが不満を漏らしながらも、順番に降車していき、夏目芽依もその中に紛れていた。
バス停に立ち、彼女は手に持っているバッグを力強く持ち上げた。バスの中ではずっと座れず、長時間持ち続けていたため、パソコンが特に重く感じられた。
スマホのアプリによると、次のバスはあと10分後に到着する予定だった。すでに8時30分になっており、9時前に会社に着けるかどうか分からなかった。