「だから衝動的に、私のところに来たの?」金田凛香は熱いホットチョコレートを夏目芽依の手に渡した。「家には飲み物があまりなくて、これしかないから、我慢してね。」
夏目芽依はそれを受け取り、一口飲んで、ようやく落ち着いた。
「あなたに渡したいものがあるの。」彼女は手元の袋を取り上げた。「これは羽柴明彦のお母さんが今日私にくれたフェイスマスクよ。後で二人で一緒にやって、ちょっと贅沢しましょう。」
「まさか、こんな時でも贅沢する気分なの?」
夏目芽依はうなずいた。どうせ羽柴明彦は彼女に受け取らせてくれないし、持ち帰っても強制的に捨てられるだろうから、友達とシェアした方がいい。
「贅沢しなくても何もできないでしょ、私は逃げ出してきたんだから、すぐに帰るわけにはいかないでしょ〜」彼女は口角を上げた。「そういえば、あなたの家にバスタブある?」