庄司美如は羽柴明彦を見るとすぐに笑顔を浮かべた。
「明彦くん、随分と会わなかったわね。最近は何をしているの?」
「仕事だ」彼の返事はいつものように簡潔だった。
夏目芽依はこの時、普段の自分は大げさに考えすぎていたのだと思い始めた。どうやら、羽柴明彦という人はもともと話すのが好きではなく、自分に対してだけというわけではないようだ。
羽柴明彦は朝早くから羽柴おばあさんに自分の側に引き寄せられていたので、彼女はその隣に座った。
庄司美如はテーブルの下で羽柴悠真を軽く突いた。「ちょうど明彦くんも今日いるから、この機会にはっきりさせたらどう?」
羽柴悠真は眉をひそめたが、何も答えなかった。
「さあ、この魚香茄子を食べてみて。あなたが子供の頃、この料理が大好きだったわよ」羽柴おばあさんはテーブルの上の色も香りも味も完璧な魚香茄子を羽柴明彦の前に置いた。