第109章 どうして途中で投げ出せるの

深夜の12時、夏目芽依はまだ机に向かってプロジェクト進捗報告書と格闘していた。

「内容や設計プロセスはあまり詳しく書かなくていい。重要なのは進捗状況、発生した問題、今後の計画だ。それがクライアントが気にしていることだから」という佐藤文太の忠告が耳に残っていた。どう言っても、これは彼女が初めて大型プロジェクトの報告書を独自に作成する機会であり、完全に他人の助けに頼るわけにはいかない。自分なりの考えを持つべきだった。

さらに15分ほどキーボードを叩いていると、突然携帯が鳴った。

「今日私が何を経験したか、絶対に当てられないわよ」金田凛香は神秘的な口調で言った。「報告書は終わった?」

「まだよ」夏目芽依は机から離れてベッドに移動し、クッションを手に取って腰の下に敷き、横になって体を伸ばした。「早く教えて、ちょうど気晴らしになるわ」