第124章 家を取り戻しに来る

羽柴明彦が手洗いに行っている間に、夏目芽依はすでに階段を駆け上がっていた。

これはどういうことだろう、明らかに自分が呼んだわけでもないのに、なぜか自分が悪いような気分になっている?

「芽依、家で何かあったの?今どこにいるの?帰ってこれる?」叔父からの電話を受けた時、彼女はすぐには理解できなかった。

夏目智子は社交的な人間ではなく、友人も少なく、親戚とも付き合いがあまりなかった。ただ実の弟、芽依の小叔父とだけは仲が良かった。

「ゆっくり話して、一体何があったの?」夏目芽依は困惑した表情を浮かべた。

「私もよくわからないんだ。でも今、お母さんに電話したら、声の調子がおかしかった。今、君の家に向かっているところだよ」おそらく走っていたのだろう、叔父は息を切らしていた。「とにかく、切るね」