第181章 あなたは誰

夏目芽依はその場に座ったまま、しばらく我に返れなかった。自分は今、一体何を経験したのだろう？

「あの女、何様のつもり？！」金田凛香は彼女よりも怒っていた。「どうして水をかけるなんて、あなたは本当に甘すぎるわ。あの女がどこにいるか教えて、今すぐ行って仕返しするわ。泣かせてやらなきゃ私の負けよ！」

夏目芽依は急いで彼女を引き止めた。「もう行っちゃったわ。今からどこで探すの？水をかけられたのは私なのに、そんなに怒らないで。」

「これは酷すぎるわ。ご飯を奢るって言っておきながら、結局あなたが払って、しかも水をかけられるなんて？！きっと故意よ、前から彼女のこと気に入らなかったのよ。」金田凛香は義憤に燃え、胸が激しく上下した。「大丈夫？」

「大丈夫よ、ただの水だし。」

あの時、中條詩織に一杯の水を頭から顔までかけられ、人目を引いたにもかかわらず、みんなの視線の中で強がって昼食を食べ終え、会計を済ませて立ち去った。自分の精神力の強さに感心する。