「お昼時間ある?久しぶりだから、一緒にご飯でもどう?」中條詩織は興奮して提案した。「昔話とかさ、私、同級生に会うの久しぶりで、毎日会社員ばかりと付き合ってて、みんな真面目すぎるのよ」彼女の表情から、確かに悩みが伝わってきた。
夏目芽依は彼女の手から荷物が消えていることに気づき、「仕事に戻らなくていいの?」と尋ねた。
中條詩織は携帯を見下ろして、「大丈夫よ、どうせ今日の午前中はこの仕事だけだし」と答えた。
彼女が会社に入ってからずっと木村城太の指示に従っていた。木村城太は普段、羽柴明彦の側にいて、部下に任せる仕事はほとんど雑用だった。彼女も卒業したばかりで経験が少なく、複雑な仕事はできないため、仕事は暇で、忙しくもなく疲れることもなかった。昨夜、急に電話があり、この荷物を届ける仕事を頼まれた後は何も言われなかった。