第122章 風邪を引いたみたい

「羽柴社長、私…おそらく大変なことをしてしまいました…」木村城太は羽柴明彦のデスクの前に立ち、哀れっぽく、言いよどんでいた。

「何をしたんだ?」

木村城太は頭をかきながら、「あの日、うっかり金田凛香さんに、あなたと林田さんの過去の関係について話してしまったんです。彼女はしつこく聞いてきて、最後にはどうしようもなくなって、あなたたち二人の過去のことを全部話してしまいました。でも今考えると、彼女はおそらく奥様に話すでしょう」

「このことであなたと奥様の間に誤解が生じるといけないので、先に報告しておいた方がいいと思いました」

羽柴明彦は顔を上げて彼を見た。

朝。

羽柴明彦は朝食を済ませ、いつものように食卓で新聞を読んでいた。彼はコーヒーを一口飲み、時計を見ると、すでに7時半を過ぎていたが、2階からはまだ何の気配もなかった。