精巧な刺繍のクッションが敷かれた本革のソファに座り、夏目芽依は背筋をピンと伸ばして、正座するように座っていた。
隣の羽柴明彦も同じように緊張した面持ちで、真剣な表情をしながら、お茶を一口飲んでは置き、自分の方を見ていることに気づくと、夏目芽依はすぐに視線をそらし、絶えず動かす自分の指先を見つめて呆然としていた。
「少々お待ちください。奥様がすぐに降りてきます」家政婦がオーブンから取り出したばかりの温かい小さなお菓子を机に置いたが、こんな状況では二人とも食べる気にはなれなかった。
「ねえ、羽柴明彦、怖い?」家政婦が離れると、夏目芽依は彼の方に少し寄り、小声で尋ねた。
どういうわけか、玄関に足を踏み入れた瞬間から、夏目芽依は何か悪いことをしたような気分になっていた。今回の訪問は間違いなく叱られるためだと思っていた。