帰りの車の中で、夏目芽依はずっと沈んでいた。
羽柴明彦は何度か彼女の方を振り向いて見たが、彼女がずっと黙って隣に座っているのに気づいた。これは普段ではあまり見られない光景だった。
「どうしたんだ?」彼は尋ねた。「おばあさんが何か気に障ることを言って、怒らせたのか?」
「違うわ」夏目芽依は静かに答えた。
「じゃあ、何なんだ?」
夏目芽依は唇をきつく結んで、何も言わなかった。
羽柴明彦は突然ブレーキを踏み、車を路肩に停めて、先に進もうとしなかった。「話があるなら、ここではっきりさせろ。感情を家に持ち込むな」夏目芽依がまだ反応しないのを見て、彼は続けた。「お前は羽柴家の嫁として、何か間違ったことをしたなら、おばあさんに叱られるのは当然だ。納得いかないなら直接彼女に言えばいい。なぜ俺に当たるんだ」