第327章 何とかしなければ

「芽依、最近どう?」勤務時間中に夏目智子から電話がかかってきて、夏目芽依は顔を上げて羽柴明彦を見た後、立ち上がって外に出た。エレベーターホールまで歩いてようやく足を止めた。

「元気よ、もう風光グループに勤め始めたわ、あるウェブサイトのプロジェクトを担当してる」と夏目芽依は言った。

「風光グループ?」夏目智子は思い出した。「それって羽柴さんの会社じゃない?あなた今、羽柴さんの会社で働いてるの?」

「うん…」

夏目智子は少し落ち着いた。現状を見る限り、この若い夫婦の間には何も問題がないようだ。あのようなニュースが出たにもかかわらず、今でも一緒に働いているということは、この件が彼らの関係にあまり大きな影響を与えていないことを示している。

「それはよかった、よかった」と彼女はため息をついた。「自分の家の会社で働くのもいいことよ。少なくとも他人の顔色を伺う必要もないし、外で苦労するよりずっといいわ」