「義姉さん、今夜時間ある?一緒に出かけない?」羽柴美波は夏目芽依の携帯に電話をかけ、積極的に誘った。
夏目芽依は二秒ほど躊躇した。彼女と羽柴美波はとても親しいとは言えず、彼女に助けを求めた二回を除けば、美波が自分を「義姉さん」と呼ぶのもほんの数回だった。また美波が羽柴明彦に何か頼みごとがあって、自分を伝言役として利用しようとしているのではないかと心配だった。
「今日はちょっと難しいわ」夏目芽依は言い訳した。「仕事が多くて、今夜はかなり遅くまで残業になりそうだから、他の友達を誘ったほうがいいんじゃない?」
「えぇ〜」羽柴美波の声からは明らかに不満が伝わってきた。「他の友達も誘ったんだけど、誰も来られないのよ。私たち仲良いじゃない?私が誘えば、義姉さんは絶対断らないと思ったのに。」