第329章 情商が感動的

インターホンを鳴らすと、夏目芽依は漬物の瓶を抱え、他のものはすべて羽柴明彦に持たせた。彼はあまり気が進まない様子だったが、特に何も言わなかった。

「中村ばあさん、彼らが来たわ。ドアを開けてあげて、すぐに行くから」羽柴美波は二階から下に向かって叫んだ。彼女は今日遅く起きたため、まだ髪のセットが終わっておらず、インターホンの音を聞いた時はカーラーを手に浴室から飛び出してきたところだった。

鍋ではフカヒレが煮込まれており、中村ばあさんは半分ほど取り分けると、急いでお玉を置いた。「はいはい、今行きます」

彼女は手をエプロンで拭き、玄関のドアを開けた。「羽柴さん、羽柴夫人、いらっしゃいませ」と言って、彼らの手から荷物を受け取った。「お嬢様はまだ二階にいますので、もう少しお待ちください。まずはお茶をお出しします」