第330章 なぜあなたもここにいるの

二人は三階に上がり、羽柴美波は階段の角にある寝室のドアを開け、中を覗き込んだ。「この部屋は既に掃除が終わっているわ。ここで休んでね」

羽柴美波は笑いながら言い、廊下へと向かいながら呼びかけた。「夏目おばさん、夏目おばさん!」

最後の寝室のトイレを掃除していた夏目智子は声を聞いて急いで部屋から出てきた。「何かご用ですか?」

「お客さんが来たの。外側の寝室で休んでるから、何かあったら面倒を見てあげてね」羽柴美波は言い、彼女の手の雑巾を見て続けた。「実は、そんなに丁寧に掃除しなくてもいいのよ。母はただの気まぐれで、ここはずっと誰も住んでないから、掃除してもまたすぐ埃がたまるだけだし」

夏目智子は額の汗を拭いて笑った。「これも私の仕事ですから」

「じゃあ、適当にやっておいて」羽柴美波は言った。「でも、あまり大きな音を立てないで、お客さんの休息の邪魔にならないようにね」