第357章 彼女はあなたを諦めることを選んだ

「私は彼女に二つの選択肢を与えたわ。彼女はあなたを諦めることを選んだのよ」と羽柴おばあさんは言った。

羽柴明彦の眉がわずかに動いた。

「信じられないなら、ここに録音があるわ」羽柴おばあさんは茶卓に電話を投げた。中には彼女と夏目芽依がテラスで話した内容が入っていた。夏目芽依の意思ははっきりしていて、彼女は羽柴明彦と離婚する意思があると。

「聞いてみる?」

羽柴明彦は一気に携帯を手に取った。彼は人の言葉を信じず、証拠だけを信じていた。

「あなたに二つの選択肢を与えるわ」録音の中で、羽柴おばあさんが言った。「あなたは明彦くんと一緒にいて、羽柴夫人でいることもできる。でも佐藤凡太は羽柴家からの援助を一切受けられなくなるし、今後彼と羽柴家との関わりは一切なくなる。二つ目の選択肢は、あなたが明彦くんと離婚すること。その場合、私たちは引き続き佐藤凡太の治療費を負担する。慈善事業と思って。そして今後、あなたと羽柴家との関係は一切なくなる」