「小サイズの清湯、中サイズの微辛、はいよ~」店主は両手で土鍋を持ち、厨房から足早に出てきて、大小二つの米線鍋を二人の前に置き、さらにさっと二つの椀と二つの大きなスプーンを二人に渡した。「どうぞごゆっくり、熱いのでお気をつけて」
夏目芽依は小さな手をこすり合わせ、よだれを飲み込みながらスプーンを取り、まずスープを椀に注ぎ、熱いうちに二口すすって、「これこれ、この味だよ~」とため息をついた。
彼女のその様子に、向かいに座っている羽柴明彦も少し期待を抱いた。この店は小さく、スペースも狭く、衛生状態も普通だが、味は極上かもしれない。
夏目芽依と同じようにスープを一口飲むと、味の素の味が喉を突き抜けた。彼は口をゆがめて、「これ、味の素入れすぎだな」と言った。
夏目芽依は驚いて彼を見た。「それがわかるの?」