第389章 私は離婚に同意します

「ふぅ~~~」

夏目芽依と夏目智子の母娘二人は丸一日かけて片付けをし、ようやくすべての荷物を配置し終えた。二人はソファーに倒れ込み、いわゆる新居を眺めていた。

この家は羽柴家の別荘と比べるべくもないが、以前住んでいた古いアパートと比べればいくらかマシだった。少なくともエレベーターがあり、膝を痛めながら上り下りする必要はなかった。

「芽依、ここから職場まではどのくらいかかるの?」夏目智子が尋ねた。

「あ…」夏目芽依はそこで急に思い出した。もともとこの辺りで部屋を借りようと思ったのは、盛景に近く通勤に便利だからだった。しかし今となっては、すぐに職場復帰できるわけでもなく、この家は急に無意味なものになってしまった。

「しばらくはあそこで働かないことにしたの。まずは前に約束したプロジェクトを終わらせてからね」と彼女は言った。