第477章 記録が消えた

「芽依はすでに私に約束してくれたんだ。私たちが新婚旅行に行っている間、彼女が一時的に会社を管理してくれるって」席上で、高橋山雄は嬉しそうに夏目智子に宣言した。「これで私の心配事も解決したよ」

夏目芽依は頭に黒い線が走り、自分はまだ承諾していないのに、この人は本当に独断専行だと思った。

「芽依、大丈夫なの？」夏目智子が振り向いて彼女を見た。

「私...やってみるわ」こんな状況では、そう言うしかなかった。

「心配しないで、すべて彼女のために準備しておくから」高橋山雄は安心させるように言った。「その時は、すぐに就任するだけでいいんだ」

就任...この言葉はそういう使い方ではないはず。自分はまるでアヒルを無理やり橋に上らせるようなものだ。

その後、彼が何を言ったのか芽依はまったく覚えていなかった。頭の中では、自分がまったく経験したことのない会社の傀儡社長になることだけを考えていて、どうしてもリラックスできなかった。