夏目芽依はすぐに手元の枕を投げつけた。「だめ!」
羽柴明彦は避けきれず、顔面に直撃し、やっと整えた髪型が再び乱れてしまった。彼は夏目芽依を睨みつけ、目に殺気を宿した。「もう一度言うぞ、ここは俺の家だ。俺はどこで寝ようと自由だ」
夏目芽依はすぐに体を起こした。「ここがあなたの家だってことはわかってるわ。でも、こんなに広い家なのに、ここしか部屋がないわけじゃないでしょう?他の場所で寝ればいいじゃない。それに、ここは私の部屋よ」
その言葉を聞いて、羽柴明彦は眉を上げて彼女を見つめ、冷笑した。「ふん〜お前はとっくにこの家から出て行ったはずだろ。今夜、家に帰れなくて可哀想だから一晩だけ泊めてやってるんだ。どうしてここが急にお前の部屋になるんだ?」
夏目芽依は一瞬言葉に詰まった。これは明らかに彼女の部屋なのに…突然、何かを思い出した。「そうだ、あの日あなたが言ったじゃない。私たちはまだ離婚していないから、ここはまだ私の家だって」彼女は自信満々に言った。