第516章 我慢できない

「来週の月曜日に示談書を提出します。あなたは弁護士と連絡を取ってください。そうすれば、すぐに釈放されるでしょう」

「本当ですか?」中村海斗は羽柴明彦をじっと見つめた。「つまり、あなたは本当に自ら和解を申し出てくれるんですか?」

「ええ」羽柴明彦はうなずいた。「お父さんの健康状態もあまり良くないようですね。ここは風光グループと提携している病院です。出所したら、彼を連れて行って総合検診を受けさせるといいでしょう」羽柴明彦は私立病院のカードを彼に渡した。「事前に手配しておきます。今後何か助けが必要なことがあれば、いつでも連絡してください」

示談書を出すという行為だけでも羽柴明彦という人物の度量の大きさを示すものだが、ここまでするのは常識では考えられないことだった。

「羽柴さん、一つ質問があります」と中村海斗は言った。