羽柴美波はフォークでお皿の中のパスタをかき混ぜ続け、口を尖らせて「本当に不味いわ」と言った。
彼女はこの言葉を周りの人を気にすることなく、音量を下げることもなく言った。
ウェイターはすぐに近づいてきて、心配そうに「お二人は今日のお料理はいかがでしょうか?」と尋ねた。
夏目芽依は緊張して顔を上げ、「とても美味しいです」と答えた。
彼女のこの言葉は完全に心からのものではなく、レストランでシェフの料理が美味しくないと大声で文句を言うことは彼女には簡単にできることではなかった。
羽柴美波はそんなことは全く気にせず、ウェイターを睨みつけて「最悪に不味いわ。このパスタの味は湯がいただけの方がマシよ。料理したことのない私でもこんな不味いものは作れないわ。今日のシェフは味覚障害でもあるの?」と言った。