「後藤秘書!」石塚千恵は急いで立ち上がった。「社長はもう仕事が終わりましたか?」
「社長はとっくに出かけましたよ、見なかったんですか?」
「行ってしまったんですか?」石塚千恵は目をパチパチさせ、この結果を信じたくなかった。「でも私はずっとここに座っていて、専用エレベーターから誰も出てくるのを見ていませんでしたよ!」
「ああ、申し訳ありません。実は今日は専用エレベーターがメンテナンス中で、社長は従業員用の通路を使ったんです!」
「そうなんですか?では社長はいつ時間がありますか、明日は大丈夫ですか?」石塚千恵は怒りを全て飲み込んで、苦々しく尋ねた。
「それは...」後藤秘書は困った様子で、最後には本当のことを言った。「石塚さん、あなたは謙虚な方だと思いますので、正直に言いますね。以前は前社長、つまり会長があなたの学院へ支援を約束していました。しかし今は新しい社長の決定次第で、新社長は支援しないと言っているんです!だから...」