011校内暴力

秋山直子は数秒黙り、座り方を変えた。「ありえない」

古賀千暁は医療バッグを背負い、タバコを咥えながら、少し笑ったような声で言った。その声は少し温かみがあって心地よかった。「自信満々だね」

トイレのドアが軽く音を立て、誰かが入ってきた。

秋山直子は淡々と「うん」と返し、それから声を低くして「結局何を見たの?」と尋ねた。

しかし古賀千暁も彼女に嘘をつくことはなかった。

「君の名前がリストにあった。彼らは君を調査している」古賀千暁は彼にキャンディーを渡した小さな男の子に微笑み、それから目を細めて別の方向に歩き始めた。「君が私のために資料を調べた時、十分に注意深くなかったのか、自分の情報を漏らしたんじゃないか」

「それはもっとありえない。誰も調べられるはずがない」秋山直子は立ち上がり、眉と目を少し上げた。彼女は無造作に額に垂れた髪をかき上げた。「他に用がなければ切るよ」