053誰も神崎若旦那の前でこんなに傲慢になる勇気はない(二更)

唐突なノックの音。

皆の視線が反射的にそちらに向いた。

山田お祖母さんは椅子に座り、お茶を手にしていた。

彼女は後ろ盾を得て、意気揚々としていた。目を細めて秋山直子たちを見ながら、音がしたので振り向いた。

一目で若い警察官が目に入った。

「秋山直子さんはどなたですか?」警察官は人々の中を見回し、最後に桜川第一高校の制服を着た女子生徒に視線を止めた。

その女の子は顔を横に向けていたが、それでも美しい横顔のラインが見て取れた。

肌は白く、制服はきちんと着こなされていたが、開いていて、中の白いシャツには血が数滴ついており、しなやかで細い体のラインを浮き彫りにしていた。

その場にいる多くの人の中で、彼女が最も目を引き、警察官の視線は無意識に彼女の顔に落ちた。

その女の子が少し顔を上げ、問いかけるように彼女を見たとき、警察官はようやく彼女が秋山直子だと気づいた。