局の事務ホール。
秋山直子が唐突に立ち去り、深井次長の心は穏やかではなかった。
秋山言葉は唇の端を少し下げ、森田錦也が電話を終えて戻ってくるのを見て、小声で言った。「お母さん、お兄ちゃん、先に帰りましょうか?叔母さんが待っています。」
宮本晴は今、熱い鍋の上の蟻のようで、言葉を聞いても何も言わず、ただ森田錦也を見つめていた。
森田錦也は秋山直子が連れて行かれた方向を見て、少し間を置いてから、ようやく携帯を見下ろした。「風間譲がさっき局の班長の電話番号をくれた。帰って叔母さんに会おう、彼女にはコネがあるはずだ。」
この件は簡単に説明できるものではなく、森田錦也がここにいても大して役に立たないので、彼は戻って森田優子に詳しく説明するつもりだった。
宮本晴と秋山言葉は彼の後ろについて外に出た。