275忘憂草、学員等級(一更)

秋山直子:「……」

彼女は本当に何気なく聞いただけだった。

前を歩いていた陸奥照影は元々堀井音のことを考えていたが、この一言を聞いて、まず携帯の時間を確認し、それから体を横に向けた。「秋山直子、もう12時近いよ、ちょうどお昼時だし、一緒に食事でもどう?」

彼の表情は自然で、普段と何も変わらなかった。

神崎深一は両手をポケットに入れて秋山直子の後ろについて歩きながら、陸奥照影に眉を上げ、初めて彼に賞賛の眼差しを向けた。

陸奥照影は少し感激した。深一が初めて彼を馬鹿を見るような目で見なかったのだから。

秋山直子は陸奥照影をちらりと見て、手で帽子のつばを押さえ、咳払いをした。「ちょっと眠いんだ。」

神崎深一は笑った。「じゃあ、先に帰って寝よう。」

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東京金融センター。

「お嬢様」オフィスで、黒縁メガネの秘書が入ってきて、書類の束をオフィスチェアに座っている女性に渡した。「今日のスケジュールです。」