274 バイオリン演奏(2回目)

舞台裏、最初に演奏するのは男子学生で、すでに準備が整っていた。

彼は自分のバイオリンを持ち、手のひらは汗でびっしょりだった。

どんな大会でも、最初と最後の出場者は不利だ。

最初の出場者は前の人との比較がないため、得点は低すぎるか高すぎるかのどちらかで、多くの場合は高めになる。

演奏会に参加する人は二十数名ほどで、その中には互いに知り合いも多かった。

彼らはさまざまな大会で会ったことがあるか、大会前に会ったことがあり、ほとんどが顔見知りだった。この中で秋山直子だけが、目立つ容姿でありながら見知らぬ顔だった。

演奏会に参加する二十数名は全員、秋山直子を見たことがないと確信していた。あのような容姿の人なら、一度見たら必ず印象に残るはずだから。

「あなたも演奏会に参加するの?17番?」甘い声が聞こえた。