293秦父が東京に来る、物理学部の宝物!(一更)

東大の新入生の報告時間は他の学校より少し早い。

今日はまだ正式な入学手続きではないが、二日前から学校を見に来た新入生も少なくない。

秋山直子が今日来たのも入学手続きのためではない。

頭上の太陽が強く照りつけ、彼女は二歩立ち止まり、神崎深一を見て、ある方向を指さした。「こっち?」

神崎深一は頭を上げて見て、だらしなく笑った。「そうだ。」

「秋山さん、東大に来たことがあるのですか?」神崎木がついてきた。

彼は日傘を持っていた。元々は秋山直子のために持ってきたもので、神崎執事が注文した時、特に少女らしいものを選び、傘の外側には白いレースの縁取りがあった。

しかし秋山直子はキャップをかぶり、日傘を使わなかった。

神崎深一は両手をポケットに入れ、のんびりとした様子で傘を使う気配もなかった。