秋山直子は黒いバックパックを持って、江戸川院長のオフィスから新しい本のセットを受け取って出かけた。
ビルの下に着くと、資料を持った有栖川開と茅野恒の二人が見えた。
「秋山直子!」有栖川開はすぐに直子に手を振った。「どこに行くの?小吃街にも行くの?」
茅野恒も直子に挨拶した。
「行かないわ、出かけるの」直子は本を持つ手を変え、まつげを下げて、目の下にかすかに見える赤い血管を隠した。
彼女が持っていたのは原子力工学の教科書で、全部で7冊あり、それぞれがかなり大きく、重さもある。
7冊合わせると数キロはあった。
「持ってあげるよ」有栖川開は紳士的に申し出た。
もしクラスの他の男子学生が見たら、クラスに二人しかいない女子学生の一人が一人で本の山を持っているのに、彼が手伝わなければ、きっとクラスの男子たちから非難されるだろう。