「生田主任?」柴田祐希は中年男性を見て、思わず声を上げた。
研究院の責任者である生田主任を、柴田祐希が知らないはずがない。
生田主任は柴田祐希を見た。彼は葉山先輩を知らなかったが、秋山直子は知っていた。柴田祐希は見知らぬ顔だったので、明らかに二人のうちの一人ではなく、生田主任はただ彼女に頷いただけだった。
「お二人は準備できますか?」生田主任は実験室の他の二人を見て、非常に丁寧な口調で尋ねた。
朝の7時近くに蘆屋教授と望月教授は既に出かけていた。
出発する前に葉山先輩に研究院の人がすぐに彼を訪ねてくると言っていたが、午前中が過ぎても誰も来なかったので、実験室の数人はもう来ないだろうと思っていた。
誰が想像できただろうか、昼食を終えたばかりの時に、研究院の人が本当に来るとは……