第18章 新メンバー

朝霧翔真は階段を駆け下り、地面に屈み込み、両手で目を覆って泣いている霧島咲姫の姿を目にした。

彼女は大声で泣くことはできず、ただ鳴咽を漏らすだけで、その声は極限まで悲しみに満ちていた。

彼は心が痛み、前に進んで彼女の背中をさすった。特に何も言わず、ただその方法で彼女を慰めた。

霧島咲姫は泣き疲れ、目は赤く腫れ上がり、どうしたらいいのか分からなかった。

彼女は鼻をすすり、涙を拭いて立ち上がり、表情は気まずそうだった。

自分が惨めな状態になるたびに、いつも朝霧翔真が側にいた。彼女はもう彼にどれだけ借りがあるのか分からなかった。

会社に戻ると、神城家との初めての取引が成立しなかったことで、皆が様々な憶測をしていた。

今日、朝霧翔真に同行した数人も、会社内では今日起きたことについて口を閉ざしていた。

何を言うべきか、何を言うべきでないか、彼らはよく理解していた。

ただ彼らが予想外だったのは、霧島咲姫が神城連真の元妻だったという事実だった。この情報は彼らを長い間驚かせた。

先日、神城連真が妻を捨て、母子を外に放り出したというニュースが流れたばかりで、写真を見ただけでも冷酷だと感じていた。

今日見たところ、まさにその通りだった。

冷酷なだけでなく、言葉も毒々しく、霧島咲姫をあのように罵った姿を見て、彼らは彼女に同情を覚えた。

彼らが口にしなくても、壁に耳ありというように、この件は朝霧氏内で広まり、皆は裏で話すだけで、霧島咲姫と直接対決する勇気はなかった。

16階での出来事は彼らへの教訓となり、会社内では人の噂をしてはいけないということだった。

しかし霧島咲姫は口が利けないだけで、馬鹿ではなかった。それでも彼女は彼らの視線に気づいていた。好意的なものではない視線に。

ただ彼女に聞こえないようにしているだけで、彼女は知らないふりをした。

それでよかった。

朝霧氏で約2週間働いた頃、新しいメンバーが入社した。

新入社員は大学を卒業したばかりの20代前半で、花のような年齢だった。

彼女が会社に入るとすぐに、多くのベテラン社員から称賛を受け、勤勉で美しいと褒められた。

霧島咲姫も新人だったので、主任は彼女たちの席を近くに配置し、コミュニケーションを取りやすくした。