霧島咲姫は手を振って、まったく気にしていなかった。
ただ好奇心からだけだ。結局のところ、卒業したばかりで、未知の世界に対して好奇心でいっぱいなのだ。
「チン——」
エレベーターは18階で止まり、ゆっくりと開いた。
二人は前後してオフィスに戻ると、霧島咲姫が戻ってきたのを見た人たちは急いで口を閉ざし、時々意味深な視線で彼女を見つめていた。
これらの小さな動作を、霧島咲姫は当然見逃すことはできなかった。彼女はこの種の視線にあまりにも慣れていた。前回16階でも同じだった。
ただ今回の視線は、前回ほど露骨ではなく、そこまで大げさではなかっただけだ。
やはり何かしら遠慮があるようだ。
霧島咲姫は見なかったふりをして、自分の席に戻って仕事を続けたが、頭の中は朝霧翔真の言葉でいっぱいだった。