第19章 白蓮花

霧島咲姫は手を振って、まったく気にしていなかった。

ただ好奇心からだけだ。結局のところ、卒業したばかりで、未知の世界に対して好奇心でいっぱいなのだ。

「チン——」

エレベーターは18階で止まり、ゆっくりと開いた。

二人は前後してオフィスに戻ると、霧島咲姫が戻ってきたのを見た人たちは急いで口を閉ざし、時々意味深な視線で彼女を見つめていた。

これらの小さな動作を、霧島咲姫は当然見逃すことはできなかった。彼女はこの種の視線にあまりにも慣れていた。前回16階でも同じだった。

ただ今回の視線は、前回ほど露骨ではなく、そこまで大げさではなかっただけだ。

やはり何かしら遠慮があるようだ。

霧島咲姫は見なかったふりをして、自分の席に戻って仕事を続けたが、頭の中は朝霧翔真の言葉でいっぱいだった。