それでも、朝霧翔真は神城家へ行った。
朝霧氏の会社の名義で行ったのだ。
神城家と朝霧家は長年協力関係にあり、私的にも頻繁に交流があったため、彼に対して神城淵司はとても歓迎し、当然ながら盛大にもてなした。
居間で二人が向かい合って座ると、朝霧翔真は遠回しな言い方をせず、本題に入った。
「神城叔父ちゃん、正直に言うと、今回来たのは神城連真を探しているんです」
神城淵司は一瞬驚き、表情に異変が見られたが、それでも笑顔を浮かべて言った。「それは残念だ。彼は朝早くから会社に行ってしまったよ」
朝霧翔真は笑みを崩さず、言った。「神城叔父ちゃんが私の来意をご存知なら、どうして遠回しな言い方をするのですか」
彼と霧島咲姫の件は大騒ぎになっており、おそらく神城淵司は今、知らないふりをしているのだろう。明らかに彼に会いたくないという態度だ。
それでも、長年の情があるのだから、多少の面子は立ててやらねばならない。
神城淵司は一瞬驚き、話を逸らして言った。「いや、本当に君が今日何をしに来たのか見当もつかないんだ。遠慮なく言ってみてくれないか?」
「……」
朝霧翔真の表情が硬くなった。「ただ煌のことについてです。霧島さんがここ数日、煌のことで日に日にやつれていくので、子供を連れ帰って数日過ごさせてはどうかと思いまして」
「連れ帰る?」神城淵司は怒って目を見開いた。怒っているものの、まだ婉曲的に表現しようとした。「君は私を叔父ちゃんと呼ぶが、私を困らせないでくれ。先日記者会見を開いたばかりだ。神城家こそが煌の家なんだ」
この言葉は直接朝霧翔真を反論したものだが、聞こえ方はそれほど不快ではなかった。
朝霧翔真は茶碗を握る手がわずかに硬直したが、口元にはまだ笑みを浮かべていた。「それならば、霧島さんに神城家に来てもらうしかありませんね。子供は彼女の身から落ちた肉です。どうして関係を断絶すると言って、断絶できるのでしょうか!?」
最後には、彼の口調はいくぶん冷たくなっていた。
神城淵司は表情を引き締め、顔を強張らせた。「朝霧翔真、私たちの長年の付き合いがあるから、君とは争いたくない。もし霧島咲姫のために子供を要求するつもりなら、それは不可能だ。私だけでなく、連真も同意しないだろう」