第44章 神城家はあなたを歓迎しない

霧島咲姫の目には優しさが溢れていた。彼女は腕を軽く拭うと、煌を抱きしめたが、心の中は苦さでいっぱいだった。

煌が神城家でより良い生活を送るほど、自分は彼から遠ざかっていく。

しかし、いつも活発な煌が、昼間なのにまだ目覚めないのはなぜだろう？

彼女は少し身を屈め、額を合わせてお互いの体温を感じた。熱はない。

彼女はこれまで煌の世話をしてきたので、少しでも様子がおかしければすぐに気づくはずだ。もう9時を過ぎているのに、まだずっと眠っているなんて。しかも、お母さんがここに来てからずっと、目覚める兆候すらない。

「なぜここにいる？」

男の低い声が彼女の背後で響いた。神城連真は眉をひそめ、煌を彼女の腕から奪い取ったが、そのような激しい動きにも関わらず、抱かれた子供は少しも目覚める様子を見せなかった。