第62章 薬を塗ってあげる

神城連真は彼女の顔から目を離さず、長い間じっと見つめた後、ゆっくりと言った。「それなら、お前を生きた心地がしないようにしてやる」

極めて優しい眼差しなのに、彼女は全身が冷たくなるのを感じた。

霧島咲姫は眉をわずかに寄せ、彼が誤解していることを悟った。

——私と彼はただの友達よ。彼は煌のことを何度も世話してくれたから、感謝しているだけ。あなたが考えているようなことじゃないわ。

これが初めて、霧島咲姫が二人の関係について自ら説明したことだった。

神城連真はそれを理解し、心の中のもやもやが一瞬で消え去ったようだった。煌の部屋に行くと、二人は忍び足で入り、煌がまだぐっすり眠っているのを見つけた。

霧島咲姫は急いで前に出て、彼の掛け布団を少し下げた。もうすぐ夏になるところで、部屋の窓は開いていたが、風は弱く、エアコンもつけていなかった。

彼女はずっと、子供にそういうものを当てすぎるのは体に良くないと思っていて、夜は煌を寝かしつけてから自分も寝るようにしていた。

彼女が子供用ベッドの横に半ば寄りかかると、右手が硬直するのを感じ、男に強く引っ張られた。

「？」

霧島咲姫の目には疑問が浮かんでいた。今日の神城連真はどうしたというのか？

「薬を塗ってやる」

男はいつの間にか二本の薬を手に持ち、彼女の服を脱がし始めた。服が半分ほど捲り上げられ、霧島咲姫の顔は一瞬で赤くなった。

彼女は急いで神城連真の手を払いのけた。

——自分でできるわ。

煌がここにいるのに、もし目を覚まして母親の服装が乱れているのを見たら、どうやって彼を教育すればいいのか。

神城連真は手を払われ、最初は表情が一変したが、彼女の赤くなった顔を見て、そして彼女の視線の先にあるベッドの上の煌を見て、何かを理解したようだった。

「煌は今寝たばかりだから、目を覚まさないよ」たとえ目を覚ましても、こんなに小さな子供に何がわかるというのか。

そう言うと彼は彼女の服を捲り上げた。雪のように白い背中の真ん中には青あざがあった。神城連真は一条執事から聞いていた。彼女の背中が花瓶に当たったのに、ほとんど手当てをしていないと。

「こんな状態なのに、医者を呼ばないのか？」神城連真は彼女の背中の青あざを見て、目に一筋の冷光が走った。

神城家で、誰がこんなことをする勇気があるというのか。