第70章 私を恐れているの

ドアが再び開かれ、霧島咲姫の目は喜びに満ちていたが、神城連真だと分かった瞬間、明らかな恐怖を感じ、体が縮こまった。

それを神城連真に見られてしまった。

「どうした？俺をそんなに怖がっているのか」

男は低い声で言い、その眼差しは熱を帯び、まるで彼女を生きたまま飲み込もうとするかのようだった。

霧島咲姫は首を振ろうとしたが、体中が硬直しているように感じた。彼女は言葉を発することができず、この時、四肢はまるで凍りついたかのようで、ただ黙って布団にくるまるしかなかった。

男は徐々に近づき、最後にはベッドの端に立ち、彼女の額を長い間見つめていた。

「喉が渇いているか？」

え？霧島咲姫は少し顔を上げ、疑問を持って彼を見た。

一体どうしたのだろう。

「最後のチャンスをやる。あれはお前がやったことなのか」神城連真は突然頭を下げ、その声はこれまでにない優しさを帯びており、彼女を一瞬で魅了した。

霧島咲姫はぼんやりとして、すぐに首を振った。

彼女ではない、本当に彼女ではない、彼女は冤罪を被っているのだ。

神城連真は彼女の顎を持ち上げ、自分を直視させた。目と目が合い、霧島咲姫は緊張して手を引っ込めた。

「俺を怖がっているのか？」

そう、怖い。

彼女は極度に恐れていた。

そのため、彼女の目には逃げ惑う様子が見えた。彼女は目の前の男を恐れていたが、同時に渇望していた。彼の愛を得たいという渇望。

このような状況でさえ、霧島咲姫は目の前の男を愛してやまなかった。

「誰がやったのか、教えてくれ。お前が言うなら、俺はお前を信じる」彼の突然の優しさに、彼女は自制できなくなった。神城連真は今日、一体なぜこのような態度なのだろう。

なぜ彼女の心に突然不安が生じたのだろう。

これは幸福が訪れる前兆ではないようだ。

彼女の右目が突然ピクリと動き、神城慈乃の言葉を思い出した。

感情は自分で勝ち取るものよ。あなたがただ我慢しているだけでは、東條未煙がつけあがるだけ。あなたは彼女があなたの位置に座り、煌を虐待するのをこのまま見ていたいの？

霧島咲姫ののどは綿で詰まったように苦しく、ゆっくりと携帯を取り出し、三文字を打った。

「東條未煙」